オンライン研修会「 認知症にやさしい施設環境 ~小規模施設を中心に」報告
2021年5月15日、オンライン研修会にて、ブラナン 野口純代 氏にご講演いただきました。2年前にも、実践交流のつどいのゲストとしてお話しいただいたことがありましたが、もっとお聞きしたいという要望により、今回はオンライン研修として2時間、zoomにてアメリカからご講演いただきました。
ブラナン氏は、インテリアデザインと老年学を修められ、現在は桜美林大学老年学総合研究所連携研究員として活躍されています。今回は、研究結果も一部ご紹介頂きながら、認知症をもつ人たちにとって、特に、色調、コントラスト、照明を含めた環境要因の調整がいかに重要であるかについて、大変分りやすくお話しいただきました。ポイントとしては、一つ目に色調をはっきりさせ、違いを明瞭にし、コントラストを整えることで認知症の方が混乱しにくい環境調整を作ること。二つ目に不要な混乱を生じさせないために明るい環境を作り、影を作らないこと、などです。
それらも含めて、環境を適切に調整できているかを評価するためのチェックリストも紹介いただきました。中でも、「認知症の人にもやさしいデザインの手引き-福岡市」は実践に生かし易いとのことでしたので、ぜひ下記のURLをご覧になってみてください。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/74905/1/tebiki-HPpdf.pdf?20200528113334
その他、トイレや居室の表示についても、ご本人にとって理解しやすいかどうかをふり返り、表示方法を工夫することの重要性について教えていただきました。
私自身、ご本人の混乱や苦痛を最小限にするために、人的要因、環境要因を整えるように、日頃から努力していますが、ブラナン氏から、環境の力を借りることで、人的資源を必要なところに割き、ご本人にとってよりよい関わりが出来るとの示唆をいただき、大変参考になりました。今回の研修に参加し、人によるケアだけでなく、環境を整えることも大切であることが実感できました。私たちがよいケアを提供しようとしている熱意を、環境を整えることにも向けられたらと思います。また、アメリカの介護事情なども聴くことができ、日本の良さを生かしつつ、海外の良さを実践に取り入れ、日本のケアがさらに良くなっていったらよいと思いました。
今回は、海外とZoomでつないでの初の研修会でしたが、コロナの影響により、オンライン会議等が普通のこととなり、こうした機会にもつながり、必ずしも悪いことばかりではない、と少し思えました。
貴重なご講演を、ありがとうございました。 KIMONO