ひらや照らす メモリーカフェから
初夏の候、国立市市民の居場所“ひらや照らす”の庭には、紫陽花が清楚な姿で咲き、色とりどりの植物に囲まれています。
“ひらや照らす”は、1回目の緊急事態宣言の際は4か月間休館しました。その間、高齢者が家に篭り、コミュニケーションを取る機会が減ったことが、身体的、精神的に如何に影響を及ぼしたか、関わる誰もが経験しました。その後、「このような時にこそ必要な場所」として、国立市からも後押しがあり、会員たちの尽力もあって、以後閉めることなく、感染症対策を十分行いながら、開所を継続しています。
“メモリーカフェ”は、毎月第2土曜日に“ひらや照らす”で、 当NPOの健康事業の一環として、地域の人々と協力しながら開催されています。現在は定員を限っていますが、毎回テーマに沿って心に残る思い出を語り合い、交流を深め、先日第35回を迎えました。
コロナが一日も早く収まってくれることを祈るのはもちろんですが、こうした非常時も、適切にコロナを恐れ、できる限りの工夫をしながら、人と人との交流を維持していく大切さを感じています。
今年の2月、私達の仲間であり、メモリーカフェの重鎮であったMさんが肺炎で亡くなりました。突然のことであり、驚くと同時に寂しい想いでいっぱいでした。Mさんは気遣いや優しさによって、メモリーカフェの雰囲気づくりに大いに貢献して下さっていました。過去にNHKで放送されたMさんの“介護短歌”を映像で見ながら、みんなで偲びました。
手渡せし 石をにぎりて そのままに 盤には置かず 我を見つめる
(ボランティアで認知症の方の家に碁の相手で訪問した時の様子を詠われたとのことです)
コロナ禍では人とのつながり方も変わってきています。参加しづらい方とリモートで繫がってみたり、グループラインで写真を送り合い、気持ちを共有してみたりと今までとは違った形で繫がることができることを確認しています。新型コロナウイルスは次々と変異し、誰かれと区別なく襲いかかってきます。その不安が1年以上も続いていると、心身に何か支障が出るのも無理ないことです。今は非常時だと、この現実を受け止めながらも、前へ前へと楽しいふれあいを求めて“ひらや照らす”へ足を運びたいと思っています。そして、仲間のみんなにとってもステキな居場所になることを願っています。
TAKA(メモリーカフェボランティア)