2月26日藤本直規先生セミナー(報告)
若年認知症を中心としたさまざまな取り組み;「もの忘れカフェ」「仕事の場」から、新しい居場所「Hej(ハイ)」へ、居場所は進化する!」に参加して
ご講演では、下記のようなエピソードを様々ご紹介頂きながら、藤本先生や藤本クリニックのスタッフの皆さんが、何よりも患者さんの話に耳を傾けて、その気持ちに寄り添い、患者さんの思いが実現できるよう、チーム一丸となって、様々な活動に取り組んでおられるということを伺いました。
エピソード1
50代の男性「認知症になったことはあきらめるが、これからの人生はあきらめない」「もの忘れを何とかしたい。できなくなったことをなんとかしたい」「仕事がだめでも、何か役割が欲しい」「社会とつながっていたい」この方との出会いが、病気(認知症)をごまかさずに告知をするきっかけになった。
エピソード2
認知症デイサービス。病気の進行とともに、できることや社会参加の方法を話しあった。プログラムのないデイサービス。その日の活動は、朝の話し合いで決める。なるべく自分たちで活動ができるよう「準備の部屋」がある。活動の準備のために「準備の部屋」に行き、活動に合わせ物品を探し準備する。この行動が習慣化され、自分たちで決めて活動するという自主性につながり、活動を行う動機づけにもなっている。
エピソード3
大所帯のもの忘れカフェ。3ユニット30人の患者さんが通うデイサービスを3つに区切らずに運営する。そのねらいはノーマライゼーション。若い人、年配の人、軽度の人、重度の人を分けずに一緒に活動しお互いに支えあう。
ある患者さん「認知症が進行しても、言ったことを覚えておいてほしい。覚えておいてくれると思うと安心する。」仲間やスタッフを信頼しているからこそ言える言葉である。
エピソード4
認知症診断直後の軽度者の居場所づくり。一般就労は難しい。だからと言って介護保険サービスの対象でもない。そこで「仕事の場」をつくる。そこは収入を得られる「働く」場であり、仲間と集い語れる場、仕事を通して社会と繋がる場である。賃金を得て家族にプレゼントをする。喜ぶ家族の顔を見て「あ~生きていてよかった」という気持になる。
患者さんの話を聞き、ニーズに合った活動の場を次々と作っていくことが、どうしてできるのだろうか?という質問に、「できないときは白旗をあげていい。でもこの次は頑張る! 日々の地道な活動の積み重ねが、チームに力をつけ、患者さんの言葉に耳を傾け、ニーズに合った新しいものを作っていくことにつながっている」という藤本先生の言葉が、深く心に残りました。
講演後、数日たって、もの忘れカフェの仲間たちからトートバックが届きました。やわらかいタッチのかわいいイラスト、素朴で素敵なバック。心がこもったバックだということがすぐにわかり、笑みがこぼれ、やさしい気持ちになりました。幸せ感が心の中に染みわたっていくようでした。コロナで疲れている心になんともうれしい素敵なプレゼント、大切に使わせていただきます!