2月17日オンライン講演会(報告)

2月17日は、公益社団法人 認知症の人と家族の会(以下「家族の会」) 東京都支部代表 大野教子さんに「家族の会活動で得た たくさんの出会いと気づき」と題したお話しをしていただきました。大野さんは、1999年から「家族の会」の世話人として活動され、2011年から現在まで支部代表として活躍されています。大野さんが、パーソン・センタード・ケアを知ったのは2001年で,長谷川和夫先生の講演会のお話しからとのことでした。「その人の物語や内的体験を尊重し本人中心の介護をすること」をパーソン・センタード・ケアと聞かれたそうです。長年にわたり、家族と本人の声に耳を傾け、活動をされてきた経験についてお話し頂きました。

「家族の会」は、1980年に京都にて設立、7支部でスタートしたそうですが、現在は47都道府県に支部 が結成され、会員数は約10000名の団体となっています。その会の活動の3本柱は、会報・支部報の発行と会員のつどい(交流会)の開催、 電話相談になっており、 今回は、主に電話相談とつどい、そして調査報告から分かったことについて話していただきました。

まず、電話相談では、一人暮らしの人や老々介護など、様々な背景の方に対する相談となるそうで、一つ一つお話しを伺う中から、その方の困っていることや思いを受け止め、次の段階につながる、例えば「つどい」に参加して頂ければ、相談者と同じような悩みを持つ人と交流を持たれることで腑に落ちる方がおられるとのことでした。電話相談では、相談者の悩みをじっくり聞き、思いを言葉にすることで自らの気づきを促し、前に進めるように援助することを大切にされているとのことでした。

次につどいですが、「会員が本音を吐露でき、それぞれの思いを受け止め、共に考え、出会ってつながる場」になることを大切にされているとのことです。参加者がじっくり話せるような場を醸成し、その中で交流をされるそうです。

会員の方が「夫が認知症にならなかったらその人たち(家族当事者や専門職)とは出会えなかった」と出会いの重要性を話されたことをきっかけに『「認知症の人と家族の思い」に関する調査報告書』を取りまとめられたそうです。報告書の中では「家族の会」の活動をきっかけに転機となった出会いがあったかという問いに「出会いがあった」とする人が60%おり、一定の出会いを提供できていることは確認できた。今後も多くの出会いがあるような会にしていきたいとのことでした。

2009年6月に家族の会の理念が制定され、「認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳を守られ 日々の暮らしが 安穏に続けられなければならない。 認知症の人と家族の会話 当選ともに励まし合い 助け合って、人として実りある人生を送るとともに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を希求する」 となったそうです。大野さんは、現在、地域包括支援センターの方々ともつながり、「認知症の人と家族が穏やかに暮らすために」をテーマに、地域の方々と「本人の思い・家族の思い」を伝え、ともに考える取り組みをされているそうです。

大野さんは、認知症の人 ご本人と家族の支援は車の両輪であり、目の前の壁、現状を乗り越えるのは本人自身、家族 自身である。その「乗り越える力」は周囲の人とのつながりで得ることができると結ばれました。今後も大野さんの活動も楽しみです。

今回、「家族の会」の取り組みについてお話しを伺い、家族、当事者の声を大切に関わることの重要性を再認識しました。本当に有難うございました。   (TU)

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